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ロック史に残るアートギターの物語をたどるシリーズ「伝説のアートギター列伝」第4弾。今回は、”アート”というより”工作”の究極形——暖炉の木と廃材で作られたギターの物語です。
クイーンのブライアン・メイが、少年時代に父と二人で手作りした「レッド・スペシャル(Red Special)」。市販ギターが買えなかった一人の少年の工作が、あの唯一無二のクイーン・サウンドを生み出しました。
きっかけは「ギターが買えなかった」こと
1960年代初頭。ギターに憧れた少年ブライアン・メイには、大きな壁がありました。フェンダーもギブソンもヘフナーも、高すぎて買えないのです。
そこで彼は、電子工学のエンジニアだった父ハロルドと一緒に、「だったら、理想のギターを一から作ろう」と決意します。1963年8月に着工し、完成したのは1964年10月。親子の手作りプロジェクトは、1年以上に及びました。
材料は、家じゅうの”廃材”だった

お金がない親子が選んだ材料は、まさにアップサイクルの極みでした。
- ネック:なんと古い暖炉のマントルピース(飾り棚)のマホガニー材。虫食いの穴をマッチ棒で埋めて使ったという逸話も。このためギターは今も「Fireplace(暖炉)」の愛称で呼ばれます
- ボディ:古いオーク材のテーブルなどの木を利用
- トレモロアーム:自転車のサドルバッグ受け金具+オートバイのバルブスプリング+プラスチック製の編み物針の先端
- ピック:後にブライアンは硬い6ペンス硬貨をピック代わりに愛用。これも彼のサウンドの秘密の一つに
暖炉、テーブル、自転車、バイク、編み物針、コイン——。楽器屋で買ったものは、ほとんど一つもない。家にあった「もう使わないもの」たちが、一本のギターに生まれ変わったのです。
廃材から生まれた、唯一無二の”泣き”のトーン
驚くべきは、この手作りギターが他のどんな市販ギターとも違う音を持っていたこと。オーケストラのようにも、人の歌声のようにも聞こえるあの伸びやかなトーンは、まさにクイーンの代名詞です。「Bohemian Rhapsody」のギターオーケストレーションも、「We Will Rock You」のソロも、すべてこの一本から生まれました。
ブライアンは半世紀以上にわたり、クイーンのほぼ全ての作品とライブでこのレッド・スペシャルを弾き続けています。「世界一有名な自作ギター」であり、同時に「一人のギタリストが生涯を共にした相棒」でもあるのです。
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シリーズ4本が示す、たった一つの真実
| ギター | 成り立ち |
|---|---|
| The Fool | 量産SGをプロが装飾 |
| モンタレー・ストラト | 吊るしのストラトを本人が手描き |
| フランケンシュトラット | 傷ものパーツを寄せ集め |
| レッド・スペシャル | 暖炉と廃材から一から手作り |
4本すべてに共通するのは、「高価なギターが偉いわけではない」ということ。むしろ、お金がなかったからこそ工夫が生まれ、工夫が個性になり、個性が伝説になりました。ギターの本当の価値は、値札ではなくそこに込められた物語と創意工夫にある——シリーズ4本が、声を揃えてそう言っているように思います。
「もう使わないもの」を、宝物に

レッド・スペシャルの物語は、JUNK GUITAR ARTがやりたいことそのものです。役目を終えたもの、捨てられそうなものに、もう一度命を吹き込む。ブライアン親子が暖炉の木でギターを作ったように、私たちは眠っていたジャンクギターを、世界に一本のアート作品として蘇らせています。
「自分だけの一本が欲しい。でも作る自信はない」——そんな方こそ、私たちの出番です。あなたの好きなデザインを高品質フィルムでラッピングすれば、暖炉を削らなくても(笑)、あなただけのレッド・スペシャルが完成します。
まとめ
暖炉の木と廃材、そして親子の情熱から生まれたレッド・スペシャル。それは「買えないなら、作ればいい」という発想が、いかに大きな奇跡を起こしうるかを教えてくれます。あなたの家に眠る”もう使わないもの”にも、まだ物語の続きがあるはずです。
- ▶ 第1弾:クラプトン「The Fool」と「CRASH」
- ▶ 第2弾:ジミヘンが燃やした「モンタレー・ストラト」
- ▶ 第3弾:130ドルのジャンク「フランケンシュトラット」
参考:Wikipedia “Red Special”、Open Culture、The Red Special 公式サイト、ブライアン・メイ著『Brian May’s Red Special』(2026年7月時点の情報に基づく)

