※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
「中古ギターの買取価格が上がっている」という広告を、最近よく見かけます。
本当でしょうか。そして、本当だとして、自分のギターも上がっているのでしょうか。
この記事では、一般紙の報道と、買取店が自社で公開している実データだけを使って整理します。「最大5倍」のような、根拠の示されていない数字は使いません。
まず事実|一般紙が報じた価格上昇
東京新聞が2024年5月1日に、中古ギター市場の価格上昇を取り上げています。記事で挙げられていた具体例です。
| 事例 | 内容 |
|---|---|
| イシバシ楽器 お茶の水本店 | 以前40万円ほどだったギターに63万円の値札 |
| 購入者(32歳・会社員) | 4年前に11万円で購入したモデルが、状態が悪くても20万円以上 |
| 市場全体 | 中古が新品時の定価を上回る例も珍しくない |
同店の営業部長は、30〜40%の上昇はまだ小さいほうだとしたうえで、この状況を「ある意味まさにバブルです」と表現しています。
売る側の広告ではなく、一般紙の取材です。上昇そのものは事実と考えてよさそうです。
買取価格の実データ|メーカー別の中間価格
次に、実際の買取額を見ます。楽器買取業者が自社サイトで公開している集計値です。中古ショップの「売値」ではなく、買い取られた金額なので、売る側にとってはこちらが現実の数字になります。
| メーカー | 買取の中間価格 | 集計件数 |
|---|---|---|
| Martin | 100,000円 | 107件 |
| Gretsch | 90,000円 | 48件 |
| Gibson | 80,000円 | 234件 |
| ESP | 61,200円 | 47件 |
| Fender | 60,000円 | 183件 |
| PRS | 55,000円 | 40件 |
| Yamaha | 40,000円 | 68件 |
| Ibanez | 35,000円 | 72件 |
| Epiphone | 29,900円 | 59件 |
機種別でも出ています。
| 機種 | 買取の中間価格 | 集計件数 |
|---|---|---|
| ES系 | 60,500円 | 20件 |
| レスポール | 56,700円 | 137件 |
| テレキャスター | 55,000円 | 84件 |
| ストラトキャスター | 47,500円 | 98件 |
種類別では、クラシックギター 72,000円/アコースティック 61,200円/エレキ 50,500円/エレアコ 46,800円。ギター全体では51,300円でした(1,541件)。
出典:楽器の買取屋さん(公開されている買取価格相場。本記事の調査時点の値です)
▶ 最新の価格表と個別の買取事例は、公式サイトで確認できます
何が起きているのか
① コロナ禍の需要増が、まだ続いている
東京新聞の記事は、価格上昇の背景としてコロナ禍の巣ごもり需要を挙げています。自宅で過ごす時間が増え、楽器を始める人が増えました。
さらに、アメリカで起きたギター需要の急増が日本にも波及したと説明されています。
② 円安で、仕入れ値が上がった
ヴィンテージや中古のFender・Gibsonは、長年アメリカでの買い付けが中心でした。円安が進むと、同じ個体でも円換算の仕入れ値が大きく増えます。
仕入れが高くなれば、店頭価格も、買取価格も上がります。
③ 海外需要については、慎重に見ています
「海外バイヤーが買い付けていて国内在庫が減っている」という説明は、業界内で広く語られています。実際、国産のヴィンテージが海外で評価されているのは事実です(後述)。
ただし、輸出量の統計など、独立した裏付けデータは見つけられませんでした。買取業者や楽器店の発信がほとんどです。
「そう言われている」以上のことは、この記事では断定しません。
国産ギターが見直されている
上昇が分かりやすいのが、1980年代前後の国産モデルです。買取事例にはっきり表れています。
| モデル | 買取額 | 備考 |
|---|---|---|
| Fender Japan ストラトキャスター(JVシリアル) | 88,163円 | 1982〜84年・フジゲン製 |
| Squier ストラトキャスター(JVシリアル) | 55,130円 | 廉価ブランドだが高額 |
| Squier CST55(JVシリアル) | 33,225円 | 同上 |
| Orville by Gibson レスポール(1991年製) | 66,000円 | 国産 |
| YAMAHA SG2000 | 240,000円 | 国産 |
| Epiphone CASINO 日本製(オレンジラベル) | 74,370円 | 日本製 |
JVシリアルとは
1982年から84年ごろに、長野のフジゲンで製造されたモデルに付けられたシリアルです。当時の製造品質が高く評価され、中古市場で高値がついています。
注目してほしいのはSquier(スクワイヤー)です。本来はフェンダーの廉価ブランドですが、JVシリアルの個体は5万円台で買い取られています。
「安物だから値段がつかない」とは限らないということです。
見分け方
ヘッド裏やネックプレートのシリアルを確認してください。「JV」で始まる番号であれば該当します。
買取店の説明では、同じブランドでも日本製 > 中国製 ≧ インドネシア製の順で買取価格に差が出るとされています。
では、いま売るべきか
上がっているのは「全部」ではありません
ここは冷静に見る必要があります。報道や買取事例で金額が上がっているのは、ヴィンテージ・国産の名機・生産終了モデルが中心です。
量産された新しめの入門モデルは、ほとんど影響を受けていません。Epiphoneの中間価格が29,900円であることからも分かります。
自分のギターが該当するか、確認する順番
- ① 製造国を確認する。ヘッドやラベルに「Made in Japan」があるか
- ② シリアルを確認する。JV・SQなどの記号、年式が読み取れるか
- ③ 生産終了モデルかどうか。現行品より終了品のほうが上がりやすい
- ④ 同じ型番の買取事例を探す。買取店の価格表で型番検索する
ここまで調べて該当しそうなら、査定に出す価値があります。該当しなくても、相場全体が上がっている時期なので、損はしません。
ただし「相場」は自然現象ではありません
最後に、冷静な指摘を紹介します。
相場は天候のように勝手に動くものではなく、店の値付けや業者間の取引で人が動かしているという見方があります。楽器店の経営者が指摘していることです。
実際、買取業者の記事には「相場が最大5倍」といった表現も見られますが、根拠となるデータは示されていません。この記事でそうした数字を使わなかったのは、裏が取れなかったからです。
上がっているのは事実。ただし、広告の数字をそのまま信じる必要はありません。確かめる方法は1つで、複数の業者に実際に査定してもらうことです。
売ると決めたら
相場が上がっている時期でも、出し方で金額は変わります。
▶ 査定で減額されない出し方はこちら:ギターを売る前の準備|査定で減額される理由と、当日に必要なもの
▶ 相場の考え方と売る手段の比較はこちら:ギターの買取相場と、売る前に試したい選択肢|高く売るコツも解説
業者によって提示額は変わります。とくにヴィンテージや国産の名機は、専門店かどうかで評価が大きく分かれます。
▶ 6社の比較はこちら:楽器買取はどこがいい?主要6社を比較|ギターを高く売る業者の選び方
よくある質問(FAQ)
中古ギターの買取価格は本当に上がっているのですか?
上がっています。東京新聞の2024年5月1日の記事では、以前40万円ほどだったギターに63万円の値札が付いた例や、4年前に11万円で買ったモデルが状態が悪くても20万円以上になっている例が紹介されています。中古が新品時の定価を上回るケースも出ています。
なぜ上がっているのですか?
コロナ禍の巣ごもり需要で楽器を始める人が増えたこと、アメリカでのギター需要の急増が波及したこと、円安で海外からの仕入れ値が上がったことが挙げられています。海外バイヤーによる買い付けの影響も業界では語られていますが、輸出量などの独立した統計データは確認できませんでした。
どんなギターが上がっているのですか?
ヴィンテージ、1980年代前後の国産モデル、生産終了モデルが中心です。とくにフジゲン製のJVシリアル(1982〜84年ごろ)は評価が高く、廉価ブランドのSquierでも5万円台の買取事例があります。一方、量産された新しめの入門モデルは大きく上がっていません。
JVシリアルかどうかはどこで分かりますか?
ヘッド裏またはネックプレートのシリアル番号を見てください。「JV」で始まっていれば該当します。1982年から84年ごろに長野のフジゲンで製造されたモデルで、当時の製造品質が高く評価されています。
買取業者の「相場が5倍」という表示は本当ですか?
根拠となるデータは示されていません。上昇していること自体は一般紙の報道でも確認できますが、倍率の表示は広告表現として受け取るのが妥当です。相場は店の値付けや業者間の取引で動く面もあるため、実際の金額は複数社に査定を依頼して確かめてください。
いま売るべきでしょうか?
手放すと決めているなら、売りやすい時期であることは確かです。ただし上がっているのは一部のモデルなので、まず製造国・シリアル・生産終了かどうかを確認し、同じ型番の買取事例を調べてから判断してください。弾く予定があるなら、急いで売る理由はありません。
値がつかなかった一本に、もうひとつの道
相場が上がっているとはいえ、すべてのギターに値段がつくわけではありません。ネックが折れている、量産品で相場がない、という場合は0円と言われることもあります。
その場合でも、捨てる前に考えてほしい選択肢があります。演奏する機能を諦めれば、壁に飾るインテリアとして残すことができます。
▶ 仕上がりを先に見てから決めたい方へ
▶ 作り方と実例はこちら:ギターアートとは?作り方4種と飾る空間の実例|弾かない一本を主役に
▶ 壊れている場合の判断はこちら:壊れたギターは売れる?ジャンクの買取・処分・飾るという4つの選択肢
まとめ
- 上昇は事実。一般紙が40万円→63万円の例を報じている
- 買取の中間価格はGibson 80,000円/Fender 60,000円/Martin 100,000円
- 上がっているのは一部。ヴィンテージ・国産名機・生産終了モデルが中心
- JVシリアルは要確認。Squierでも5万円台の事例がある
- 「5倍」などの数字に根拠はない。広告表現として見る
- 確かめる方法は1つ。複数社に査定を出して比べる
相場が動いている時期は、押し入れの一本を一度調べてみる価値があります。調べるだけなら無料です。

